
全体のリフレッシュでお預かりしましたスカイラインR32 GT-R です。
新車から25年間ワンオーナーのお車で錆や塗装の劣化があり、普通の全塗装よりも金額が掛かってしまいますが、一生手放すつもりは無いので、とご決断いただきました。単なる一台の車では無く一緒に思い出を作って来た家族の様な存在なのかな、と感じました。大掛かりな内容ですがいつも通り自分の出来る範囲で作業していきます。
プラスチック部品はかなり痛んでいます。

モールやゴム関係も痛んでいるものが多いです。

クォーターパネルは錆て穴が開いています。


左クォーターパネルは取り替えてありとにかく状態が悪いです。



室内側は溶接してそのままになっていて錆ています。



その他お決まりのジャッキアップポイントの潰れ等あります。

左側のサイドシルから作業していきます。

スポット溶接を外しサイドシルを取り外します。

サイドシルインナーも潰れフロアが上に持ち上がっています。
アウターとインナーの2枚のみで簡単に変形しますので、緊急時以外にココでジャッキアップするのは危険です。R32だけでは無く、昔は潰れている車を良く見ました。


変形を直して錆の酷い箇所は切り接ぎしました。

合わせ目の錆を削ってスポットシーラーと言う通電性のある塗料を塗っておきます。

オーナー様は、サイドシルの強化をする為にR34 GTRの補強を入れて欲しいとの事でしたが、部品は既に生産中止でした。色々なGT-Rの専門店様を参考にしていましたらオリジナルの補強部品を作って販売しているのを見つけました。
かなり考えてある見るからに強化出来そうな部品です。

亜鉛メッキの状態ですので研磨してエポキシを入れて内板色を塗りました。


車体に仮止めして新品のサイドシルも合わせておきます。


位置が決まったら溶接していきます。
今回リフレッシュのお話をいただいたのは去年のゴールデンウィーク頃で、一旦はお断りしました。と言うのも半自動溶接機しかありませんでしたのでここまでの作業はしたく無かったからです。部分的には半自動溶接を使ってもやはりメインはスポット溶接で、と言う思いがありました。作業している方ならご理解いただけると思いますが溶接温度の違いでどうしてもMIG溶接では重なった合わせ目の防錆が不利になります。半自動溶接だけでもしっかり防錆して考えて作業される方もいらっしゃると思いますし、これを否定する訳ではありません。自分も過去に散々やっていました。
これをオーナー様に伝えた所、それでも・・半自動でも良いからお願いしますと仰って下さいました。今時の溶接強度の出せるスポット溶接機になると金額も相当なものですので、どうしようか散々悩みました。丁度良く試作品メーカーからほぼ新品の売り物が出て来ましたので悩んだ結果、自家用車が溶接機に変わりました(笑)
たまにしか使わないので恐らく一生、元は取れないと思いますがGT-Rが喜んでくれれば。

現行機種では無いですがかなりのハイスペックです。
そのせいか工場の電源まで容量アップする事になりました(笑)

溶接しました。丸い跡がスポット溶接の打痕です。昔の鋼板が真っ赤になるスポット溶接機とは違い溶接していて気持ち良いです。

作業が進みましたら更新します。
続く。
スポンサーサイト