
マツダ RX-7 FD3Sです。停車中に自転車が衝突した修理でお預かりしました。




フロントバンパーからボンネット、右フェンダー、右ドアまで損傷しています。

ルーフにも人か自転車が当たった様で全体が歪んでいます。

事故の分は保険での修理ですがその他にも劣化や過去の修理での不具合があります。
リアゲートは塗装されていて紫外線による退色で色の違いがあります。


左ドアもモールをマスキングで塗装してあり際が剥がれ始めています。

保険と関係の無い箇所はオーナー様の自費によりオールペイントする事になりました。
内装の分解から始めていきます。屋根の板金を行うにあたりルーフライニング(内張り)を取り外す為に殆どの内装を取り外す必要があります。取り外したら汚れないように梱包して傷が付かないよう重ねずに保管しておきます。













ここまで分解してようやくルーフライニングが外せます。

バックパネル内側はテールランプ取り付けのクリップから浸水があり一部錆が出ています。


ガラス屋さんにより前後ガラスも取り外しました。


リアゲートのガラスも以前に取り外してあり、その時の処理が甘かったのか錆が出ています。




大まかな分解が終わりルーフから板金していきます。

写真では分かりにくいですが細かいヘコミと全体の歪みがあります。

FD3Sは元々ダブルバブルルーフという形状の屋根で、車体を前後方向から見ますと両側が高く中央が低いのですが中央の低い部分の真ん中は僅かに高く、山が3つ連なった様な形状が正常なラインです。
オーナー様は交換しても良いですと仰って下さいましたが交換となると4本のピラー(前後左右)を切断、溶接する事になり板金で直れば車には優しいですので板金で修理していきます。

ラインが微妙で中央部は鋼板に張りが無いので苦戦しました。上面のパネルは夏場の温度も高くなりますのでなるべくパテを薄くしなければ板金を選択した意味が無い、と思いながら時間を掛けて叩いた結果パテを使用しなくても良い状態まで板金できました。




リアゲートで隠れていた箇所は新車の状態で塗膜が薄く劣化して錆が出ています。

ルーフの塗装も傷んでいるので全体を研摩して劣化した塗膜を除去しておきます。



粉塵の清掃、脱脂、マスキングを行います。


錆は表面だけでしたので研摩して除去できました。




鋼板が露出している箇所はエポキシプライマーを塗布しています。



エポキシプライマーの指触乾燥後ウレタンサフェーサーを塗布しました。


乾燥させている間フェンダーとドアを板金していきます。
ドアの付属品を取り外します。


左のフロントドアはミラーもマスキングで塗装してあり際が汚い状態です。

モールには塗料が付着していますが綺麗に除去出来たので再使用します。

左ドア前方の白く囲ってある箇所はクリヤーのボカシ目が出ていました。

通常パネルの目立つ箇所でのクリヤーボカシは年数が経つとこの様な結果になるのでタブーなのですが・・・。
ちなみに以前も保険修理でディーラーさんによる修理との事です・・・。

右のフェンダーとドアです。損傷は深いですがルーフと比べれば気が楽です。


フェンダー、ドア共にパテを使用せずに板金出来ました。



左のドアはクリヤーの切れ目などを研摩して脱脂、清掃、マスキングを行います。

鋼板の露出している箇所はエポキシプライマーを塗布しました。





乾燥後ウレタンサフェーサーを塗布しました。



順番に赤外線乾燥させています。




リアバンパーはフロントに合わせてマツダエンブレムを取り外し穴埋めのご依頼があり付属品を取り外します。


エンブレムの穴の周辺を研摩、脱脂、プラスチックプライマーの塗布、乾燥後エポキシパテを充填します。
乾燥時間を長く取るためこの状態で寝かせておきます。


ボンネットはキズと浅い凹み、端の折れで板金出来ない事は無いのですがこちらも以前に塗装されていて全体に小さな膨らみが出ています。


ブリスターと言われる塗膜のトラブルで問題のある塗膜(この場合ボンネット全面です)を取り除かなければ直りません。ヘコミの修理と塗装の剥離で新品パーツを超える金額になりますので新品交換になりました。


車体に仮合わせを行います。ヘッドライトパネルは新品になります。



ルーフのサフェーサーを研摩して微妙なライン出しの為に再度ウレタンサフェーサーを塗布しました。


赤外線乾燥を行いサフェーサー箇所と塗装範囲全体を研摩して脱脂、清掃、マスキングを行います。





供給されたデータ通りの純正色を配合して塗装しました。




この写真だとルーフの中央の低い山が見えます。この中央の山が無ければもう少し簡単に板金出来たと思います。


蛍光灯で見ると鮮やかな綺麗な青です。







長くなるので次回に続きます。
スポンサーサイト